休むに似たり

意味のない考えをぐるぐると巡らせるADHD女の思考の記録

「わかる」と「できる」の間の深い谷

ADHDができないことといえば、最も重大で困ることは2つ。

マルチタスクができない

・片付けができない

ということ。これは私にもよく当てはまります。

 

今回はマルチタスクについて考えてみますが、タスク管理で重要なことは大まかに言って(1)業務の優先度を比較したうえで、各業務の手順を分割して1本の日程に割り当てスケジュールを組む(2)「時間があればやりたいこと」は業務と別にリストアップしておく(3)業務の増減や進捗に応じ逐一スケジュールをアップデートする といったあたりです。

(1)は基本的なことですが、我々は物事の優先順位付けが苦手なのがまずネックです。
ADHDというのは「その時脳に入ってくる情報のフィルタリングがうまくできない」特性があります。
授業中の先生の話も校庭でよそのクラスがやってるサッカーも同じように頭に入ってきて、その時「やりたい」と思う方に引き付けられます。あるいは「ここに座っていなければ怒られる」ということも「ここの物音は耳障りで落ち着かない」ということも同じように頭に入ってきて、その時「避けたい」と思う状況を避けます。私の場合「めんどくさい」が「あとで困る」に勝ってしまう。「やるべきこと」を最優先、「やりたいこと」はその次といった順番をうまくつけられないわけです。
それでも大人になれば「やるべきこと」と「やりたいこと」の区別はついてくる。やらずに痛い目にあったことが「やるべきこと」。そこは、ゆっくりゆっくりではありますが、学習するようです。

では、やるべきことが同時にいくつもあったら?

ADHDはどうしても「その中で比較的やりたいこと」から手を付けてしまう。やりたくないことは後回し。相手が少し待てるのかすぐやってほしいのかとか、相手の対応に時間がかかるためそれを見越して早く連絡する必要があるか、一度連絡すればすぐ済むことか、といった、状況や周りの都合などを即座に適切に勘案し「いかにやるべきか」まで含めて判断するのが苦手なわけです。「同時にいくつも進めたらこんがらがるので1つずつやる」といった、自分の癖を分析しての学習やプランニングはできるようになっていくと思います。でも仕事というのは周りの都合に合わせてやらなければならないことがたくさんあります。そうなると、途端にダメになります。例えば電話応対をしなければならない状況で自分が主担当で企画している長期の重い仕事と依頼された短期で完了する軽い仕事の2つをしていたりすると、電話応対後自分が今どちらの仕事をすべきなのかわからなくなっていることが多々あります。

(2)も一種の優先順位の問題ですが、仕事が順調なときにやっておいた方がいいことをやっておくと、仕事が順調でないときに助けになると思います。ただ、業務に割くべき時間を食ってまでそれに打ち込まないような線引きが必要で、ADHDはしばしばそれがあいまいになってしまうわけです。
例えばよく「これ1件ずつベタ打ちするの時間かかるしミスも多いから何とか関数で計算とか入力とか検算とか全部できるワークシート作りたいなー」みたいなことがあるのですが、「いやここはこっちの関数の方が応用がきくんじゃね?」「いやでもこういうデータがあるとエラー出るわさっきのの方がいいか」とかやってるうちにベタ打ちするよりよっぽど時間が経過している…というようなことがあるわけです。進捗状況をチェックして余裕があるときにやらないと、作業をする段になってそんなこと考えてる暇はないんですよ。まあ、私の場合、要領悪すぎて余裕なんて作れないんですけどね!

(3)はしばしばASDについて「突発事態や予定変更が苦手」ということが言われるわけですが、ADHDの場合「変更そのものは別にいいんだけど、当初の日程の間に挿入するのではなく上書きで書き込んでしまう」ことが多く、結果として「当初の計画にあった業務が消失」という事態に陥りがちです。でなければ「できなかった仕事の変更しか考えてなかった結果予定がダブルブッキングしたり、玉突き的に締切厳守の別の仕事が押し出される」とか。失敗を繰り返した結果トラウマ的に突発事態や予定変更が苦手になる場合もあると思います。
上記の電話応対の例でいえば、受けた電話が緊急連絡だった場合、2つの仕事のどっちも完全に投げ出して二度と戻ってこない。「今日はもう疲れた、明日やろう」といって明日になれば忘れています。そもそも「いろいろな事情を想定して計画を立てておく」ことが苦手なのですから「その都度また計画を修正する」ことが得意なわけがありません。私の場合「計画を変更するのがめんどくさいから計画なんか立てたくない」と思うことが多々あります。

と、まあ、あるある失敗談を書き連ねてきましたが
「わかっているなら対策したらいいじゃん」
てなりますよね。
まあ、スーダラ節さながら、わかっていてもできないことなんて誰にだってあるわけですが。「知行合一」などと格言になるのも、それが難しいからにほかならないのですが。

どうにも私は、何事も「めんどくさい」という回避衝動にあらがうことが難しい。

わかっててできないことが、本当に多すぎます。

 

「わかる」と「できる」のギャップに関しては、もう少し別の切り口からお話しすることもできると思います。
「世の中には『How』で事象をとらえる人と『Why』で事象をとらえる人がいる。両者は相互理解が難しく、『Why』は少数派である。」ということを論じた心理学者がいます。どちらのタイプか判別する心理テストもあるのですが、私は後者でした。
これに関しては、また後の機会にでもじっくり書きたいなーと思います。